歯をぼろぼろにするいくつかの方法


缶ジュースを手放さない


 自動販売機で簡単に手に入る缶ジュースや缶コーヒーなどのドリンク類。このドリンク類には角砂糖で10個以上ほどのかなりのお砂糖が入っています。これをこぼすと机の上がべとべとになると思います。歯についた糖分は細菌によって代謝され、酸ができ、この酸によって歯が溶かされます。
 このときにできるむし歯はほとんどすべての歯に同時に起こるのが特徴で、タチの悪いものです。
 スポーツドリンクも糖分が含まれていれば同じですし、だらだら長い時間かけて飲めばそれだけ酸が有効に歯に働き、ぼろぼろにすることができます。

 


糖分を取ったらすぐに寝る


 疲れたときには甘いものが恋しくなります。
 とくに脳細胞はエネルギー源として純粋な糖分のみを使います。そのために育ち盛りの子供は甘いものをほしがります。
 問題はそのとり方で、普通は糖分や酸は唾液により緩衝され洗い流されるのですが、寝ているときには唾液の流出量がかなり減りますので、とったら歯磨きなどしないですぐ寝るという方法で歯を痛めつけることができます。
 また、かむことで唾液が出ますので、固形の手作りお菓子や穀物、野菜果物で糖分を補給するよりジュース類で補給したほうが歯はぼろぼろになります。



むし歯をそのままにしておく

 

 むし歯は細菌による病気です。とくにミュータンス菌とソブリヌス菌という菌とがいっしょになると、かなり短期間に歯をぼろぼろにする、強力なペアーとなります。お口の中の細菌は赤ん坊のころに母から子供へ食物を口移しする時期に移り住みほとんど変わらないといわれていますが、夫婦間でもお口の状態は似てくることから、大人になってからも多少の細菌の種類は変化するようです。
 その細菌の種類によってむし歯になりやすい人、歯周病になりやすい人、歯を磨かなくても大丈夫な人と分けられます。今までむし歯になったことのない人は歯がぼろぼろになりにくい面白くない人なのです。
 ただ問題は細菌の種類ともう一つ、量です。むし歯を治療しないでそのままにしておけば、むし歯菌の製造工場があるのといっしょで、次から次へ歯をだめにすることができます。

お口の中を不潔な状態にしておく

 歯についた汚れをそのままにしておけば、そこに細菌がくっつき増えていきます。
 一つはその細菌から出る酸により歯が溶かされます。強いむし歯菌がいなくても普通の細菌でも酸が生じ緩やかですが歯は溶けていきます。
 もう一つは歯肉の周りの汚れに細菌がつくと、体はその細菌が歯と歯肉のすきまから体に入らないようにその細菌を退治しようと血を集め、その中の好中球やマクロファージ、抗体などの防衛軍が細菌と戦争をはじめます。戦争が長引くと、体は骨の中に細菌が侵入しないように、歯を支えている骨をわざと溶かしたり、硬くなった汚れの中にいる細菌の毒によって骨が溶けたりして、歯の周りの骨が次第になくなっていきます。これが歯周病で、最後はぐらぐらして抜けていきます。
 歯周病は一本一本の歯だけでなく、お口の歯全体をぼろぼろにします。


煙草を吸う


 欧米に比べ日本ではまだまだ煙草を吸う人が多いようです。煙草も歯をぼろぼろにする頼もしい味方です。  煙草を吸うと部屋の隅まで汚れていくのと同じで、歯の周りに汚れがついていきます。煙なので器械の入らないような細かいところまで侵入します。歯は本来自分自身なのですが、汚れてくると、体は、歯を自分自身でなく、とげと同じように外界からの侵入者や異物と同じように判断し、歯をいじめ次第に外へ追い出そうとするようになります。その結果、歯周病を助ける強い味方となるのです。
 また、煙草に含まれているニコチン作用により小さな毛細血管が収縮し、血液の循環が悪くなり、細菌に対する防衛軍が出動しにくくなります。その結果でも歯周病の悪化を手伝うのです。


フッ化物を使わない

 歯はアパタイトと呼ばれる結晶格子の様子でその強さにかなりの開きがあります。フッ化物はその強さをかなり高め、むし歯に対して強い抑制効果を持ちます。
 飲み水にフッ化物が入っている欧米では日本よりかなりむし歯の数が少ないのです。日本では副作用があるということで敬遠されていますが、指摘されている副作用は大量に摂取したもののデータであり、ビタミン類を含めどんないいものでも大量に摂取すれば害となるのです。食後に飲むお茶にはかなりのフッ素が含まれており、古来の習慣の意味がわかると同時に、お茶に含まれている程度の量のフッ化物を飲み水に入れても問題ないと思うのですが。
 歯が萌出する子供の時期に有効なのと、高齢者になって歯茎が下がって起こる歯の根の部分のむし歯やしみる時にもそれを防ぐ役目をします。


 


歯並びが悪い

 

 

歯並びが悪いとどうしてもごみがたまりやすくなります。普通の歯ブラシのほか、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯の間まで丁寧に磨いてごみがとれればいいのですが、それでもとれない部分があれば、そこに細菌がついて、歯がぼろぼろになりやすくなります。
 親知らずと呼ばれる8番目の歯が萌える時期にも歯並びは変わってきて、ごみが入りやすくなります。また、同時にかみ合わせも狂ってきますのでその影響でも歯をぼろぼろにしやすくなります。


かみあわせがおかしい

 歯は上から加わった力には強いのですが、斜めや横の力には弱いものです。歯周病の素因があるときにおかしな力が加わるとゆれや腫れを悪化させる原因になります。また、歯並びが悪かったり、頭の高さが不ぞろいのときも、その歯にダメージを与えたり、その歯が他の歯にブロックされたり、他の歯にくっついているときには、歯だけでなく顎を痛め、口の開け閉めが不都合になったり、音がするようになります。
 かみ合わせは年とともに変わっていきます。歯と同じように磨り減っていかない金属を使い、定期的にチェックを受けなければ、しだいにかみ合わせはおかしくなります。

好き嫌いがある、スナック菓子が好き

カルシュウムは人間がかつては海にいた生物に起源があったという根拠になっているように、筋肉を動かしたり、血を止めたり、体のさまざまな用途に使われています。海水には大量のカルシュウムが含まれ貝類はほとんど代謝しない、炭酸カルシュウムからできているのに比べ、人間の骨はほとんどが燐酸カルシュウムから成り立ち、溶けたりくっついたり代謝をし、体に貢献しています。
 好き嫌いがあったり、スナック菓子が好きだったり、牛乳を飲まなかったり、ストレスがかかりっぱなしになったり、女性ホルモンがなくなってきたり、運動不足になったり、肝臓腎臓が悪かったりするとカルシュウムの代謝が悪くなり足りないカルシュウムは骨が溶けて補うようになります。
 歯を支える周りの骨は細い骨ですので、なくなるのも早いのです。また、そのとき溶け出したあまったカルシュウムは歯石の元になって細菌の住処になります。


 

  以上が歯をぼろぼろにするいくつかの方法ですが、いかがでしょうか。歯がぼろぼろになった人にはそれなりの理由があり、個人個人によって歯がぼろぼろになるリスク度はかなり違います。  そのリスク度を把握しリスク度の高い人は定期的に検診してフッ素を使うのが、ぼろぼろになるのを防ぐベストの方法なのです。  それにはあなたのことをよく知っているかかりつけの歯科医師をぜひ大事にしてください。