歯の119番


  • 歯に色がついた
  • 歯がおかしい
  • 歯が痛い
  • 歯肉がおかしい
  • あごがおかしい
  • はれてきた
  • 歯を抜いた後がおかしい
  • 義歯がおかしい
  • 口の中に何かできた
  • 口がかわく
  • 舌がおかしい
  • ぶつけた

歯に色がついた

・黒い点がある

 かむ面の小さな溝や歯の間に、黒い点や透かしが見えるとき、多くはむし歯の初期です。むし歯でもかなり早く進行するものや、長い間変わらないものまでその種類はいろいろです。したがって、そのむし歯の種類や歯の磨き方などの患者さんの状態で早く治したほうがいい場合と、予防処置で経過観察したほうがよい場合とがあります。
 また子供のころにむし歯の進行止めを塗った歯は銀が付着して黒くなります。この場合も経過観察をして、むし歯が進行するようならすぐに治療してください。
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・歯全体に色が変わってきた


 多くは、歯の中にある神経が死んだ場合に、歯の色の変化が起こってきます。
歯を何かにぶつけ、神経が死んでしまう場合や、むし歯や歯周病で神経の中に細菌が入り込み、神経がやられた場合などに起こってきます。
 歯にある無数の細かい管に汚れがたまる場合が多く、その管を漂白することである程度は白くできます。また、むし歯が大きかった場合は削って、白い瀬戸物のようなものやプラスティックのキャップでかぶせて治します。
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・歯が汚れてきた

 歯の汚れの原因には煙草のヤニや、茶渋が多くを占めます。それ以外にはカレーなどの食物の色素や地域によっては飲み水の成分によって汚れがつく場合もあります。
 ヤニとりの歯磨き粉で力を入れてこすればとれないことはないのですが、表面がざらつきそこにまた汚れがたまるという悪循環になり、そのうち、削れた歯の部分がしみてきますので、なるべく、汚れは歯科医院で取ってもらうようにしてください。
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・歯の付け根が茶色くなった

 付け根の着色はむし歯のことが多いです。とくに、加齢とともに歯茎が下がり、歯の根の部分が出てくると、歯の頭の部分のようにエナメル質というよろいがないので、簡単にむし歯になりやすくなります。
歯の付け根や根元のむし歯は神経までの距離が近いため、しみやすく、削りにくく、治しにくいむし歯です。
 できれば、そうならないよう、定期的に歯の掃除と、フッ素塗布などの予防処置を行ってください。
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・もともと歯が茶色い

 歯が作られるころに高熱が続くような重い病気をした、あるいは強い薬を飲んだときに、歯の表層がうまく作られずに茶色くなったり、帯状に黄色くなったりします。
 また、乳歯をむし歯にして中に長い間膿をためておくと、その下の永久歯がうまく作られずに、黄色くなって生えてくる場合があります。
 歯そのものの異形成ですので、治療はなかなか困難です。歯の表面につめのようなものを貼り付けるか、かぶせるかして治すことになります。
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方針イメージ

・つめたもの・かぶせたものの色が変わってきた

 材質によって、嗜好品によって、唾液の量や歯ブラシの仕方などその人のお口の中の環境によって、色の変わり方はまちまちです。
 白いつめるものかぶせるものの材質には大きく分けて、陶製のものとプラスティック製のものに分けられます。陶製のものに比べて、プラスティック製のもののほうが、細かい傷ができやすく、そこに汚れが染み付いたり、化学変化で変色したり、磨り減りやすいので、下地の金属が透けて黒ずんで見えやすいという欠点があります。研磨しなおすか新たに作製し直すことになります。
 陶製のものはほとんど変色しませんし、汚れがついても容易に落とせます。

歯がおかしい

・穴があいている

 典型的なむし歯だと思われます。
 歯の表面はエナメル質という固いよろいで覆われていますが、穴があいて、その中に細菌が入り込むと、多孔性なために細菌が広がりやすく洞窟のように歯が溶けていきます。その状態で硬いものをかむと歯の表面のエナメル質が崩壊し、大きな穴があくことになります。しみるという現象は神経に刺激が伝わって起こりますので、体のほうではその刺激に対して何らかの防御機構を働かします。この防御反応を炎症といい、その主体は免疫反応です。
 この反応がないうち、あるいは軽いうちに治すことが、痛くない治療や歯を長く持たせるポイントです。
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・つめてある・かぶせてある歯がしみる

 治療したのがかなり古くて今まで異常なかったのがしみるようになったとしたら、新たなむし歯ができたか、かぶせてあるものがとれかかっていると思われます。もしくは歯茎が下がり、歯の根の部分が出てきたためにしみてくる場合もあります。
 治療してすぐにしみている場合は刺激が神経に伝わり、その刺激に対して神経が防御反応を起こしているせいで、刺激には細菌がどこかに残っている、金属冠の熱伝導のために冷たいもの暖かいものが伝わる、削ったときの熱などがあげられます。
 一過性の刺激なら、神経のほうで防御反応の結果、壁を作り止まることもありますし、持続的な刺激の場合は神経を取らないと治らない場合もあります。また、年令によって、その防御反応はかなり違うようです。
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・なんでもない歯がしみる

 一番多いのは歯茎が下がり、エナメル質というよろいのない歯の根の部分が露出したときです。歯の根の部分には細かい穴がいっぱいあいており、その穴から、冷たいお水や、すっぱいもの、歯ブラシの接触などの刺激が歯の中の神経に伝わり、痛むことになります。
 治療はその穴をふさげばいいのですが、歯茎が下がればまたしみるようになるので、まずは歯茎が下がらないよう、歯周病やかみ合わせの調整が大事になります。また、やたらに穴をふさいでもそのふさいだものが段となり、そこに汚れが付き、歯茎が下がるということにもなり兼ねませんので、十分な予防処置が大事となります。
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歯が痛い

・かむと歯が痛い
 

 

 歯の根の先に膿がたまっているときや、かみ合わせが高い場合にみられる症状です。治療の仕方も歯の根の中をきれいにして膿の原因となる細菌や汚れを取り除くことになります。また、かみ合わせが高い場合は削って低くします。いずれも歯科医院での治療となりますが、それまでは、かまないように反対側を使う、暖めると膿がたまり痛みが増すので、冷やす、疲れないようにする、などで対処します。
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・腫れていて痛い

 歯の中か歯の周りに細菌が入り込み、その細菌と戦った血液と細菌の死骸が膿としてたまり、痛む場合がほとんどです。疲れてくると免疫力が弱まり、腫れがひどくなったり、痛みが激しくなります。
 一時的には強めに歯ブラシをし血と膿を出したり、冷やしたりしますが、根本的には細菌の棲家を消毒しないと治りませんので、歯科医院を受診してください。

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・温かいお湯を含むとズキズキする

 神経が死にかかっている、あるいはもうすでに死んで、膿がたまり始めているときにおきます。この症状の出る前に、しみていたり、激しい痛みがあったが放置しておいた時が多いです。
 膿がたまっているときには、周囲を切って膿を出さなくてはなりませんが、急なときには、歯ブラシで強めに磨いたり、冷たいタオルで冷やしたり、過労や寝不足等無理をしないようにしてください。
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・何もしないでも痛い

 歯の中の神経に細菌が入り込みと痛みが次第に強くなり、神経が死ぬ間際は何もしないでも痛くなるようになります。神経が完全に死んでしまうとしばらくの間痛みは消えますが、膿がたまるようになると、また、痛みが出てきますので、早めの治療が大事です。
 何もしないでも痛いときには、歯科医院で神経をとる必要があります。ただ、痛みの激しいときには、麻酔が効きにくいので、治療も大変になります。歯医者さん嫌いの人は、ここまで我慢してしょうがなく歯科医院を訪れ、治療が痛いので、また歯医者さん嫌いになるという悪循環になります。なるべく早い治療が、痛くなく、早く治す秘訣です。
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・歯がゆれて痛い

 歯がゆれる場合は大きく3つの原因が考えられます。
 一つは歯周病で歯を支える骨がなくなり、歯がゆれて痛くなる場合。この場合は歯周病の治療が必要となりますが、住み着いている細菌の種類や、細菌のえさとなったり住み着く環境の元になる歯の汚れ、その細菌を攻撃する体の免疫機構やそれを左右させる全身的因子などにより、治り方はかなり違ってきますので、それに合わせた治療が必要となります。
 もう一つは歯の根の先に膿がたまり、その膿が出るところがなく、根の周りに広がり、ゆれる場合。この場合は歯が浮いたようになり、上の歯と強くあたるようになると、余計に揺れは強くなります。むし歯で神経をとった時や、過去に歯を強くぶつけたことがあり、知らない間に神経が死んでいる時に起こります。
 あと一つの原因としてはかぶせてある、差し歯になっているものがとれて、そのすきまに細菌が入ったりした時に、痛みます。
 いずれも歯科医院での治療が必要となりますが、応急的には、歯ブラシで血を出す、冷たいタオルで冷やす、その歯を使わないなどで対応してください。

歯肉がおかしい

・歯を磨くと口全体から血が出る

 お口全体から出血する場合は歯周病が真っ先に考えられます。
 お口の中には誰でも何百種類の細菌が住み着いており、食べ粕が残っているような汚い場所があるとそこで細菌が繁殖します。歯周病のときは歯と歯茎の境目に汚れがたまり、そこで細菌が繁殖します。体のほうとしては細菌が体内に侵入されては困るので、そこに白血球やリンパ球を集め、細菌と戦争をします。そのために体はその部分の血管を増やしたり血を集めますので血が出やすくなるのです。
 したがって血が出るからと歯ブラシをしないでいると汚れがまして余計に血が出るようになりますので、なるべくきれいにするよう、歯ブラシが痛くてできない場合には、ガーゼの小片でこすったり、よく洗口をして下さい。



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・何もしないでも血が出てくる

 

  重度の歯周病か、全身的な疾患が考えられます。かなり、お口の中が汚れていれば重度の歯周病が考えられますが、その場合でも、全身的疾患が関与している場合が多いです。
 真っ先に注意しなくてはならないのは、白血病や再生不良性貧血などの血液疾患です。血友病など遺伝性の血液疾患はあらかじめわかっている場合が多いのですが、白血病や再生不良性貧血の場合は突然発症します。さらさらした血液が出る場合、口臭がする場合、熱が出る場合、だるい場合、薬をたくさん飲んだ後などは要注意で、早急な治療が必要となります。
 他にも、肝炎や疲れで肝臓が弱まったときや、糖尿病の時には歯周病が悪化しやすく血が出やすくなります。
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・歯ぐきが腫れている

 歯ぐきの腫れは歯周病のときに歯ぐきについた細菌を攻撃しようと血液やその浸出液がたまって腫れる場合や歯の中の神経が死んで膿が中にたまって腫れる場合がほとんどですが、他の原因もいくつかあります。
 最近多いのは血圧を下げる降圧剤の影響で歯肉が腫れてくる人です。また、てんかんの薬でも歯肉が腫れてくることが知られています。
 その他、金属の中毒や白血病のときにも歯ぐきが腫れてきますので、適切な診察を受けてください。
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・歯が動いてる

 歯が動くのは歯周病で歯を支える骨がなくなってきた場合がほとんどです。その原因は歯の表面についた汚れや歯の変性で、体はその歯を敵とみなして、刺さったとげのように外へ出そうとするようになります。治療は汚れをとったり、かみ合わせを調整したりして治しますが、歯全体が汚れた場合や年令とともに歯そのものが変性してくると、その治療はかなり難しくなります。
 また、お口の中で一本だけ揺れてきた場合には、歯の中の神経の穴に膿がたまってきた場合が多く、治療もその神経の掃除が必要となります。
 まれにですが、歯を支える骨に腫瘍や病気がある場合にも歯がゆれてくる場合があります。
 いずれにせよ、良くなったからと放っておくと病気が進行していきますので、早めの治療が必要です。
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あごがおかしい

 

 

・起きたときにあごが痛い

 起きたときに顎が痛くなる原因としては、夜間の歯軋りで顎を痛める場合、寝ている間の姿勢が悪く、顎を何かにぶつけたり圧迫されていた場合、歯を抜いた後などで顎に炎症がある場合、リューマチなど全身的な疾患の一症状として出現する場合などがあります。
 顎が痛いほかに口が開きにくい、開いたり閉じたりするときに音がするなどの症状がある場合には顎関節の病気の可能性が高いので、歯科医院での診察をお勧めします。
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・強くかんだときに痛くなる

 ちょうど耳たぶの前方ぐらいに顎の関節があり、ここを支点にして顎は開いたり閉じたりします。顎の関節の中にはクッションのような関節円板という座布団が納まっているのですが、かみ合わせが悪い人はこれが傷ついたり、ずれたりします。そのために強くかむと痛くなることが多いのです。
 原因としては、親知らずが出てきてかみ合わせがくるってきた場合や、つめたりかぶせたりしたものがうまく合わない場合、硬いものを無理に噛んだ時などがあげられます。
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・あごがずれる

 歯自体のかみ合わせが悪くずれる場合と、顎自体が思春期に成長してずれる場合や顎に何かできてずれる場合が考えられます。
 前者の場合は親知らずの萌出に伴って、手前の歯が押されずれる場合が多いので、この場合は親知らずを抜く必要があります。
 顎自体の異常はX線撮影などで調べる必要があります。
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・あごががくがくして音がする

 顎の関節にある関節円板が傷ついたり、ずれた場合に音がしていきます。
 ほとんどの原因がかみ合わせの不調和ですので、そちらの検査が必要です。
 ひどくなると、口が開かない、口が外れやすいなどの症状が出てきますし、治療も難しくなり、治りにくくなりますので、なるべく早期に治療をはじめてください。
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・口が開かない

 口が開かなくなる原因はさまざまです。
 多くは親知らずを抜いた後、1日ぐらいたってから起こります。この場合は指を突っ込んで無理にでも開けてしまえば後は開くようになります。かばうとだんだん開かなくなってきます。
 このほか、親知らずの周囲の炎症やのどの炎症や顎放線菌症などで膿がたまって腫れのために開かなくなる場合、顎をぶつけてその衝撃や骨折のような状態で開かない場合、顎に何かできた場合、顎の関節自体や顎を動かす筋肉に炎症や障害がある場合、ヒステリーや破傷風などの神経疾患の場合などがあります。
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・口が閉じない

 大きなあくびをしたとき、歯科の治療などで長時間お口を開いていたときなどに、顎が外れて口が閉じなくなることがあります。よだれが出て来たり、目が赤くなって来たり、うまくしゃべれないために、治せずにいるとだんだん苦しくなります。
 治療は下あごを持って下に押し下げながら後ろへ力で顎を下げます。戻った瞬間、噛まれますので、指にタオルを巻いて行ったほうがいいと思います。
 一度外れると、繰り返しやすので、しばらくは大きなお口を開かないようにします。繰り返すと習慣性に外れるようになり、自分ではずしたり戻したりできる人もいます。余りひどいと手術で筋肉を強直させます。
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腫れてきた

・急に腫れてきて熱っぽい

 

 急に腫れた場合は膿がたまって来た場合が一番考えられます。むし歯や神経の死んだ歯があるとその神経の中に細菌がすみつくようになり、寝不足などで体が疲れた時や栄養がうまくとれないときに細菌が増殖しひどいときには半日ぐらいで顔が腫れてきます。
 こういった炎症性の腫れの場合は高熱がでることも多く、痛みもかなり激しくなります。
 なるべく早く、治療を受ける必要がありますが、それまでは安静にして水分は十分に取るようにします。
 歯科医院では膿を出したり、細菌を殺す薬や腫れを押さえる薬をだして対応しますが、全身状態が悪いとき、とくに、のどの下が腫れて薬や食事が飲めないときには、入院が必要となります。
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・徐々に腫れてきて痛みがない

 骨や皮膚に中に液体を含んだ袋状のものができたとき、あるいは腫瘍のようなできものができた場合が考えられます。
 いずれも歯科医院で診断してもらいますが、半年から数年で膨れてきて、しこりがあって、痛みがない場合は悪性の疾患も考えられますので、至急受診をお勧めします。

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・顔にぶつぶつができた

 

 ぶつぶつや水庖ができる病気はウィルス性の病気が多いです。他から移るウィルスもありますし、普段は何もなく体の中にすみついているのが、体力が落ちたり、薬を飲みつづけたときに、増殖するウィルスもあります。
 前者には麻疹や風疹、手足口病などがあり、後者には口唇ヘルペスや帯状疱疹があります。
 ウィルス性疾患の場合は1,2週間で消退していきますが、治らない場合には天庖蒼などの皮膚疾患を疑います。
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歯を抜いたあとがおかしい

 

・抜いてすぐ痛くなった

 麻酔が切れると多少なり痛くなります。とくに腫れがひどかったり、かなり痛みを 我慢していた歯を抜くと、その歯の周りも悪くなっている場合が多く、悪くなっている部分を全部取り除くとかえって侵襲がおおきくなるときには、残っている悪い部分が治ってくるまでは痛みが残りますので、薬で痛みを押さえるようにします。また、冷たいタオルで冷やしたり、お風呂の長湯は痛みがましますので入らないかシャーワー程度にします。
 その他まれですが、歯の根が一部残っていたり、歯の周りの顎の骨が折れている場合も痛みが続きます。
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2,3日経ってから痛くなった
 歯を抜いた穴に血がたまり、その血の塊の中から血管が再生され、栄養路が出来上がると骨が作られ、穴がふさがっていきます。
 このとき、血がたまらずに骨が出たままになっていると、かなり激しい痛みが走ります。この場合は穴の中に入った汚れを落として、骨面が出ないようにチョージ油などの鎮静薬をつけたガーゼでふたをしておきます。
 また、いったん血で満たされても、お口の中は不潔なのでそこに汚れがつき細菌が繁殖した場合も痛みが出てきます。この場合もよくゆすいで汚れを取ります。
 いずれも応急処置なので歯科医院で治療を受けるようにして下さい。
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・血が止まらない
 

ゆすぐと血のりがはがれて血が出てきますので、血が止まらないときにはお口の中に血がたまっても軽く出すだけにして、ゆすぐのは我慢し、ガーゼかティッシュペーパーを丸めて抜いた場所に当てて、しっかり噛んでいるか、指で押さえているようにして下さい。
 運動をしたりお風呂であったまると血圧が上がり血は出やすくなります。また、疲れていて肝機能が弱くなっているときにも血は出やすくなりますので、夜の抜歯は控えたほうがいいでしょう。
 抜いた直後が一番とまりやすく、時間とともに止まりにくくなってきますので、なるべく早期にしっかり止めるのがポイントです。
 お口の中は唾液が出ますので、それに薄まってかなり血が出たように錯覚しがちです。そういった不安感も出血の原因になりますので、あまり、不安にならないようにしましょう。
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・痺れが治らない

 お口の中全体に神経が張り巡らされています。とくに下あごの奥の歯の根の下には太い神経があるため、下の親知らずの歯を抜いた後に、麻酔をされているような痺れが出る場合があります。
 神経は過敏なので傷つけなくても、歯を抜くときに圧迫したり、触っていた歯をどかすだけでも痺れが起きてきます。ちょうど正座しただけで足がしびれてくるのと同じです。
 普通は2,3日から1,2週間で痺れがぴりぴりした痛みに変わって治っていきますが、長い場合には数年かかる場合もあります。
 しびれている間は感覚がないため、やけどに気をつけたり、唇を噛まないように注意しましょう。
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義歯がおかしい


・うまくかめない

 人工の大きな物体がお口の中に入りますので、最初は違和感が強く、慣れるのに苦労すると思います。ましてや、うまく噛めるようになるまではかなり練習が必要です。はじめから何でも噛もうと思わないで、柔らかいものから徐々にならして下さい。
 その人その人で噛みかたも違いますので、それに合わせた調整も必要ですし、自然に適応してくる部分も多いのです。
 市販の調整剤を使うと、痛みは治まるのですが、骨に力が加わらず、骨の代謝が悪くなって、骨が減って来たり、強い力に対応しなくなりますので、はじめは歯科医の指示通りに使ってみてください。
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・義歯が動く

 顎の骨と義歯の間に隙間が開いてきた場合に入れ歯が動くようになりますが、その原因のほとんどはかみ合わせが狂ってきて、顎の骨にまっすぐに力が加わらないためです。
 したがって、義歯の隙間を埋めてもらうのと同時に噛み合わせも調整してもらう必要があります。
 また、歯が残っている場合にはその歯に汚れがついて歯の周りの骨がなくなってくると歯が揺れてきます。それと同時に義歯も動いてきますので、この場合は歯の汚れをとって、噛み合わせを調整します。放置すると義歯の揺れが他の歯にダメージを与え、次から次へ歯がだめになっていきますので、早めに診てもらってください。
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・義歯の下が傷になっている

 

 やわらかな歯肉の上に硬い義歯がのっていますので、靴擦れのように傷つきやすくなります。
 多くはかみ合わせの不調和で、義歯が噛む時に動くことで起こります。こまめに調整して治していきます。
 また、プラスティック義歯で違和感を少なくするために薄く作った場合も、噛むときに義歯がたわみ、傷になりやすくなります。この場合には金属を使った、薄い義歯がお勧めです。
 この他、義歯の下に細かいものが入り込んだときにも傷がつきます。こまめに義歯とお口を掃除することが大事で、あまり、ごみが入り込むときには義歯を治してもらうようにしましょう。
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口の中に何かできた

・舌にできた

 舌にはざらざらする粒粒が表面を覆っています。胃腸が弱まったときや薬を飲みつづけたときには表面が白くなったり、黄色くなったりしざらざらが強くなります。たまに黒く毛が生えたようになることもあります。
 貧血のときにはざらざらが消えてのっぺらした舌になります。逆にしょう紅熱のときにはイチゴのように赤く粒粒が目立ってきます。
 また、生まれつき舌が割れていたり、ひし形にざらざらが消失している人もいます。
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・ほほの中にできた

 

 ぴりぴりした痛みを伴うアフタという口内炎が多く発生します。ほとんどは口の中を清潔にしておけば治っていきますが、口内炎のほかに目の痛みや紅班、外陰部の傷を伴うベーチェット病のこともあります。
 麻疹の最初のときには赤い粒粒ができます。そのあと全身にぶつぶつができてきます。
 白いレース状の模様ができてその周囲が赤くなる扁平苔せんという病気もあります。金属アレルギーのときに起こる場合もあります。
 また、かなりの頻度で白いぶつぶつがほほの奥のほうに見られることがありますし、上の歯と下の歯の噛む線に沿って白い線がついていることもあります。いずれも病気ではありませんので、治療の必要はありません。
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・歯肉にできた

 歯の根の上の歯肉が腫れて、しばらくたつと、膿の出口がぽちっとできる場合があります。この場合は歯の中の神経の掃除が必要となります。周囲を押して白い膿が出たり、疲れたときに腫れてくるのが特徴です。
 煙草をよく吸う人ではかすみがかかったように歯肉の表面が白くなっている場合があります。この状態では問題ありませんが、白い部分が厚くなり、硬くなってくると、前癌病変の白板症になっている可能性もあります。白板症の場合、1割程度はガンになっていくといわれています。舌の側縁や歯肉はお口のガンの好発部位ですので、高年齢で、痛みのないしこりができた場合は早めに診察してもらってください。
 また、カンジダ菌と呼ばれるカビの一種類が体力の落ちた幼児や老人のお口の中に白いこけのようにできる場合があります。普段は悪さをしないカビなのですが、免疫力が落ちたり、薬の投与で細菌のすみわけの均衡が崩れたときに、増殖してきます。プラスティック類が好きなようで、入れ歯の下などにぬるぬるつく場合も多いです。

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口がかわく

 

 お口の中が乾く病気は口腔乾燥症と呼ばれ、原因もさまざまです。
 更年期を過ぎてくると、腸管からのカルシウム吸収が不充分になり、体は足りないカルシウムを骨を溶かして補うようにするのですが、このとき余ったカルシウムがいろいろな所に付きやすくなり、そのために唾液が出にくくなります。
 高血圧、循環器疾患、ストレス、糖尿病、腎疾患、肝疾患、高年齢、薬などによってもお口が乾きやすくなります。
 治療法としては全身的疾患があるときにはそちらの治療をして、余りにお口の中が乾くときには人工唾液を使います。また、唾液が出にくくなりますと、お口の中の細菌が増えて、むし歯や歯周病を増悪させやすいので、しっかりしたお口の中のメインテナンスが重要となります。
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舌が痛い

 

 なにか舌にできてきて痛む場合はそちらの治療が優先になります。
 実際にはなにも症状がなくて舌の痛みを訴える更年期年令の女性の方が非常に多く、舌痛症と呼んでいます。原因ははっきりとはわからないのですが、お口の中が乾燥してきて、舌がすれてくる痛みといわれています。
 治療法もお口の中の乾燥を取る治療と精神的な訴えを聞きアプローチしていく治療の両方面から行っていきます。
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ぶつけた

・顎をぶつけた

 

 交通事故や転んで顎をぶつけたときには、頭部や他の損傷があるかないかを調べます。
 顎だけの場合は歯科での治療となります。血が出ていたり、汚れている場合には清拭して、消毒し、止血や縫合をします。
 顎が折れている場合には筋肉に引っ張られるため、かめなくなる場合がほとんどです。また、ひびが入っている場合は顎の下縁を指で触っていくとその部分に痛みがありますので、精密な検査が必要となります。どちらも大きな病院の歯科や歯科口腔外科で治療してもらう必要があります。
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・歯が取れた

 

 子供の場合は歯を支える骨が柔らかいために、歯が折れずに、歯そのものが動いて、中に入ったり、外にとれたりします。再びつく可能性が高いので、歯が清潔で可能なら元の位置にすばやく戻します。
 もしも、歯が汚れてしまったり、戻すことができない場合は、その歯を生理食塩水か牛乳につけて、なるべく早く歯科医院を受診して下さい。再植という方法でもとあった場所に戻して固定します。細菌の増殖を押さえる薬を投与して、再び歯がくっつくのを待つことになります。
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・歯が折れた

 

 歯が折れた場所によってその治療法も変わってきます。多分、折れた場所からは血が出ていますのでその出血を止めて、清拭、消毒してから歯の処置に移ります。
 歯の頭の先で折れた場合は歯と同じ色のプラスティックでその部分を修復します。歯の頭の真中で折れて神経が出た場合は、神経を取り、その穴を消毒し埋めてから、そこに芯を立ててその上をかぶせることになります。歯の根の先の部分で折れたときには、根の先だけを取り除く治療をします。歯の根の真中であれた場合は細菌の侵入があるかないかで、抜歯するか、痛みや障害が出てくるまで経過観察しながら保存するかを選択します。
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